多角化戦略にはフランチャイズへの加盟がハマる 後編:FCで多角化に乗り出す
企業の多角化戦略を進めるにあたってフランチャイズへの加盟を検討したことがあるでしょうか?企業が多角化を考え始めるきっかけとしては、複数の収益源を持って経営の安定化を図りたい、既存事業でのこれ以上の成長が難しそう、余剰な経営資源を有効活用したい、といったところでしょうか。
もちろん経営者として安定やさらなる成長を目指すのは自然なことです。しかし多角化とはいってもそもそも顧客のニーズを見誤っていたり、当初計画していた以上の経営資源が必要だった、といったリスクは付いて回ります。
そんな時にぜひおすすめしたいのがフランチャイズへの加盟です。
前編では多角化戦略の考え方についてみてきましたが、後編の今回は実際になぜフランチャイズへの加盟が企業の多角化にハマるのかを考えていきましょう。
FCで多角化戦略をするべき6つの理由
早速ですが、多角化戦略においてフランチャイズが有利だと言える6つの理由を見ていきましょう。
①スピード感
商品開発、製造、システムの構築、ノウハウ、そして知名度とフランチャイズに加盟すればあっという間にこれらのものが手に入ります。新規事業を開始すると決め、自社でゼロから市場調査、商品開発、マーケティングと進めていくと、膨大な経営資源を消費し、さらにその間に消費者の嗜好が変わってしまうという事も十分ありえます。また、人材の育成に関しても本部のサポートがあることが多く、マニュアル化もされていたりするのでそこのスピード感も図れます。多角化戦略を進めるうえでこのスピード感は嬉しいものではないでしょうか。
②リスクの削減
多角化戦略で新規事業をするときももちろんその事業が失敗に終わるというリスクが存在します。フランチャイズ展開をしている本部は既に成功体験や失敗体験を積み重ねているはずです。加盟をすれば練り上げられたフランチャイズパッケージを利用できるので、自社でトライアンドエラーをする必要もなく、失敗に結び付くリスクが減り、成功する確率があがるのです。①のように収益を安定して上げられるようになるまでの時間も短くなります。
③事業計画の精度が高い
上記のようにフランチャイズ本部は成功体験やその店舗での収益モデルを蓄積しています。フランチャイズに加盟してそれらの情報を提供してもらうことで、何もない状態から自社で計画や予測をして事業計画や資金計画を作るよりも圧倒的に精度が上がります。よって自社の経営資源で新規事業を回していけるのか、初期投資の回収期間はどれくらいを見込めばよいのか、といった検証もしやすく、さらに融資を受ける時にも説得力が増します。
④店舗経営に集中
基本的に商品の開発や広告など、フランチャイズ全体の競争力の維持に関してはフランチャイズ本部が担当します。前述のフランチャイズパッケージと併せて自社でゼロからマーケティングなどを進める必要が無いので加盟者側としては各店舗の運営に一点集中ができ、競争力の維持に関しては本部にアウトソーシングしている形になります。特に多角化戦略を取っている企業の場合は既存事業を疎かにはできないため、経営資源の割り振りを考えてもこれは大きなメリットといえます。
⑤多店舗展開がしやすい
上記のような理由から自社で完璧に新規事業を始めるのと比べて多店舗展開をするハードルが格段に下がります。確かに事業がうまくいった場合に大きく儲けるためには自社で全てをこなす方が良いかもしれませんが、フランチャイズに加盟をしてリスクを抑えたうえで店舗を着実に増やし、着実に収益を増やしていくという堅実な考え方もあります。
また、加盟するフランチャイズは一つである必要もないため、異なった業種・業態のフランチャイズに複数加盟することでさらにリスクを分散することにもなります。こうなってくると業績不振の店舗を他のフランチャイズの店舗に入れ替えるといったことも可能となります。
1つの地域に集中して店舗を出す(ドミナント戦略)ことで企業としてその地域での優位性が高まり、優良な立地の物件を押さえられたり、優秀な人材が集まりやすくなるといったことも考えられます。
⑥FCパッケージから学ぶことができる
既に練り上げられたフランチャイズパッケージに基づいて事業を運営していくことで、今まで未知だったその事業のノウハウやコツなどを学ぶことができます。もしかしたら他の事業で活用することができるかもしれません。これは経営者として、そして企業としての成長にも繋がります。しかし、フランチャイズ契約には「競業避止義務」というものが織り込まれていることが多いので、加盟する前によく確認しておきましょう。
多角化戦略でFC加盟をするときに気を付けるべきこと
どうしてもおすすめする理由の方が多くなってしまうのですが、気を付けるべき点についてもしっかりと確認しておきましょう。
①企業理念にマッチしているか
これは前編の「多角化戦略とは」でもお話しした内容ですが、多角化戦略を取るにしても自社の企業理念からブレてはいけません。また、フランチャイズに加盟するということは加盟店にとって本部はビジネスパートナーになるということです。そう考えるとビジネスパートナーである本部の理念や価値観についても賛同できるかを確認しておくことも重要です。。
②適任者はいるか
フランチャイズに加盟すると確かにパッケージを使用できるし、本部からの経営指導を受けることもできます。しかしあくまで「簡単に成功できるわけではない」ことを理解しておきましょう。社内に新事業や店舗を任せられる人材がいるのかは重要な問題です。
一般的に多くの加盟店というのは個人で独立・開業をするオーナーです。それはすなわち自分の生活が直接的に懸かっているということなので一生懸命に事業を成功させようとします。一方で基本的に安定した給料をもらい続けられる社員に店長を任せることになった場合はどうでしょう。比較するとその本気度が違うのは容易に想像できるのではないでしょうか。そのため自社の経営資源をしっかりと精査したうえで余剰人員ではなくトップクラスに優秀な人員を適所に配置するべきといえます。
③フランチャイズならではの制約を理解する
フランチャイズ契約の特性上、事業を営む上での制限は自社で全てやることと比較するとかなりきついものとなっています。基本的には商品の値段や什器の変更、営業活動については自由にはできず、本部の承認を得る必要がある場合が多いです。
また、経営資源が潤沢になりさらに別のフランチャイズに加盟したい、といった場合もあるかもしれませんが、フランチャイズ契約では競業避止義務や守秘義務といったものも理解しておかなければなりません。近年はメガフランチャイジ―やマルチフランチャイジーがフランチャイズ展開に大きく貢献していることもあり、競業避止義務については緩く設けている本部もありますが、更なる多角化を検討する上でも契約前に確認しておく必要はあるでしょう。
④参入障壁の低さを認識する。
メリットでもあったフランチャイズでの新規事業の参入障壁の低さ。しかしこれは裏返すと他者も参入しやすいということが言えます。特に加盟金などの初期費用が低い場合はなおさらです。そういった点を考慮すると、もちろん自社の経営資源との相談は必要ですが、多少初期費用がかさんだとしても同業他社との差別化がしっかりしており、安定して店舗経営に臨めるフランチャイズを選ぶというのも大いにありです。初期費用が高い、というだけでも参入障壁が高くなるといえます。
⑤本業の弱点を補うフランチャイズがはどれか
多角化戦略により既存事業と異なる新規事業を始めるだけでもリスクヘッジにはなりますが、それが既存事業の弱点を補うものや、相乗効果が生まれるものを選ぶという選択肢もあります。例えば既存事業が一年の中で繁忙期と閑散期の差が大きい場合はそこを安定させられるような事業を、また既存事業と関連付けられる新規事業を選びお互いに顧客を誘導しあう、といったものです。
まとめ
多角化戦略ではフランチャイズへの加盟がハマる、理由についてみてきました。
もしかしたらあなたの会社が多角化戦略に踏み切るにあたってフランチャイズを選ぶことになるかもしれませんが、さらにその先の道も考えておく必要があります。
同ブランドでの加盟を進めメガフランチャイジーになる、複数のブランドでの加盟を進めてマルチフランチャイジーになる、フランチャイズで安定した収益を得られるようになったら得られた経営資源も費やして自社でゼロから事業を始める、さらには自社でのフランチャイズパッケージ開発という道が見えてくるかもしれません。
メリットもデメリットも踏まえたうえで多角化戦略にはフランチャイズへの加盟を検討してみてはいかがでしょうか。フランチャイズで成功するためには多角化戦略であれ、個人での開業であれ、まずは自社(自分)にあったフランチャイズとの出会いが重要です。自社の経営資源をしっかりと把握したうえで加盟前の情報収集は抜かりなく実施し、夢のある多角化戦略を進めていきましょう。
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