フランチャイズのロイヤリティに関する【7つの疑問】を徹底解説!”Royalty”と”Loyalty“のどっちが正しい!?
フランチャイズへの加盟に関心がある皆さんは「ロイヤリティ」という言葉をご存知の方も多いかと思います。なんとなく「毎月本部に支払うもの」ということは分かっているかもしれません。しかしマーケティングに出てくる「ロイヤルティ」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?それらは同じものなのかどうかモヤモヤしている人もいるでしょう。
この記事ではそういったロイヤリティという言葉の語源から、本部のロイヤリティの使い道、ロイヤリティは安い方が良いのか、といったフランチャイズのロイヤリティに関する疑問を徹底解説していきます!
ロイヤリティの【7つの疑問】
Q1.ロイヤリティとは?
フランチャイズが加盟店に提供する商標やノウハウなどのフランチャイズパッケージを使わせてもらう代わりに、その対価として各加盟店が定期的にフランチャイズ本部に支払うお金のこと。
語源となっている英単語“Royalty”の意味としては、
特定の権利を利用する利用者が、権利を持つ者に支払う対価のことで、主に特許権、商標権、著作権などの知的財産権の利用に対する対価をいう。
出典:Wikipedia
フランチャイズ関係で使われる場合は、これらの特許権・商標権・著作権などがフランチャイズパッケージに置き換えられるイメージですね。この“Royalty”という単語の意味を知っていればフランチャイズの契約で出てくるロイヤリティの理解はしやすいです。
Q2・ロイヤルティとは違うの?
インターネットなどで調べ事をしていると、「ロイヤルティ」という単語を見つけることもあります。私自身最初はQ1で上げた「ロイヤリティ」と全く同じ意味だと思っていました。
しかし実は場合によっては同じものではないのです。「場合によっては?」若干ややこしい話になりますがお付き合いください。
そもそも、日本語でロイヤリティとかロイヤルティとか言っていますがオリジナルの英語でも似た音で語源が二つあります。“Royalty”と“Loyalty”です。
再びWikipediaを引用させていただきます。
ロイヤルティ (英: royalty) - 王位・王族。転じて、印税や特許権使用料などを指す。
出典:Wikipedia
ロイヤルティ (英: loyalty) - 忠誠・義理。転じて、継続的な購買層が持つ商品への愛着を指す。
出典:Wikipedia
これはややこしいですね。王族とか忠誠とか意味を見てもなんかニュアンスが似ているような気もしますが、厳密には意味の異なる別々の単語なのです。そして注目すべきはWikipediaでは“Royality”に対しても“Loyality”に対しても共に日本語に「ロイヤルティ」という言葉を使用している点です。
それぞれの英単語の発音記号を見ると一文字目が“r”なのか“l”なのかの違いだけでそれ以外は全く同じなので、ロイヤリティの「リ」とロイヤルティの「ル」の音の違いは見いだせなそうです。確かに日本語では一文字目の“r”と“l”の言い分けが難しいし、“li”の部分が「リ」とも「ル」とも聞こえる気もします。
実際に日本の世間で使われているところだと、ロイヤリティは“Royalty(印税や特許権使用料)”として使われることが多く、ロイヤルティは“Loyalty(継続的な購買層が持つ商品への愛着)として使われることが多いように感じますが、厳密な使い分けの根拠は発見できませんでした。最終的には文脈に合わせてどちらのことを言っているのか理解するしかありませんが、両方の単語の語源を知っておくことで理解しやすくなるでしょう。
みんコレ!ではフランチャイズ本部に支払うお金については「ロイヤリティ」を使用していきます。
Q3・ロイヤリティの種類は?
フランチャイズ本部によってロイヤリティの算出方法が異なりますが、主なものは以下の3つになります。加盟の契約を結ぶときにはどの方式で徴収されるのかをしっかりと確認しましょう。
①粗利分配方式
粗利金額に対して~%のような算出方法でロイヤリティが決まる方式です。つまり粗利を加盟店とフランチャイズ本部で分割するイメージになります。粗利とは売上高から原価を差し引いたものをいいます。コンビニエンスストアでは粗利分配方式が使われることが多いですが、他の業態ではあまり使われないようです。
②売上歩合方式
売上に対して~%のような算出方法でロイヤリティが決まる方式です。原価は考慮せずに売上を加盟店とフランチャイズで分割します。加盟店からしたらこちらの方が厳しいように聞こえるかもしれませんが、コンビニで使用される粗利分配方式と比較すると%はだいぶ低く抑えられていることが多いです。
③定額方式
月額~万円のように売上に関係なく毎月固定額を支払う契約方式です。
フランチャイズ全体では①と②のように%で本部にロイヤリティを支払うことが多くなっています。これはフランチャイズ本部としては加盟店に儲けさせただけ自分たち本部も儲けが大きくなる、ということなので本部としても俄然やる気が出るのかもしれませんね。
Q4・ロイヤリティの相場は?
ロイヤリティの種類に続いて、いくつかの業種を例にして気になるロイヤリティの相場を見ていきましょう。もちろんあくまで相場なので各フランチャイズの具体的なロイヤリティを知りたいときには資料請求をしたり説明会に話を聞きに行ってみましょう。資料には具体的な開業資金やロイヤリティも含んだ収益モデルが書かれていることが多いので参考になるはずです。
・コンビニのロイヤリティの相場
粗利分配方式が主流で粗利の30~70%に設定されていることが多いです。これは例えば300万以下の部分は35%、300万を超えて450万円以下の部分は50%、450万円を超えて……といったように細かく設定されているものです。また、水道光熱費や廃棄ロスについても本部と加盟店が分割して負担する契約が多くなっています。
・飲食店のロイヤリティの相場
飲食店のロイヤリティは売上歩合方式が一般的です。店舗や設備が必要な飲食業は開業までにかかる費用が多額になり、かつ材料の原価コストが大きい傾向が強いので、ロイヤリティの相場としては低めの3~8%くらいに設定されていることが多くなっています。
・小売業のロイヤリティの相場
ブランド買取のフランチャイズでは10万~30万円、ハンコ屋のフランチャイズでは約5万円など定額方式が多いようです。
また、フランチャイズの情報サイトに掲載されている小売業を見ていくと契約形態が代理店となっている本部も多く見つけられます。車、工具、スマホ買取などがこれに当たることが多く、これら代理店の場合は基本的にロイヤリティはかかりません。
・サービス業のロイヤリティの相場
サービス業では飲食や小売りと異なり、物ではなくサービスを商品として売っています。つまりサービス業のフランチャイズ本部は基本的にそのようなサービスのノウハウや特殊な設備というまさに商品そのものを加盟店に提供して利益を得る必要があるため、5~15%とロイヤリティは高めに設定されていることが多いようです。
Q5・本部はロイヤリティを何に使うの?
フランチャイズ本部からすると毎月安定して収入を得られるロイヤリティの制度ですが、その全てが本部の儲けになるというわけではありません。本部には具体的に以下のようなロイヤリティの使い道があります。
①SV(スーパーバイザー)による加盟店のサポート
定期的に各加盟店を巡回して状況を確認したり、問題点の改善など経営のサポートをするときに必要な予算です。SVの人件費自体もそうですし、加盟店を周るための出張費なども必要になります。フランチャイズとして一定のクオリティや統一感を担保するためにはなくてはならない本部の機能です。
②競争力の強化
これはQ6でも見ていきますが、競合店との競争に勝ち、他との明確な差別化を打ち出すための商品開発やマーケティングは、フランチャイズが長きに渡って繁栄していくうえで非常に重要です。顧客のニーズの変化は信じられないくらい早いものなので、常に新商品の開発や既存商品の改善など商品力の強化が必要ですし、大手が実施しているテレビCMや雑誌広告などは加盟店の売上アップに大きく貢献するものです。
③その他
その他にも各種研修の実施、採用、電話サポート、加盟者同士の交流の場の提供、情報・会計システムの構築や提供、物損・怪我・死亡の保証やお祝い金などフランチャイズ本部が準備するサポートは多種多様です。これらのサポートが充実していると加盟店のオーナーたちは自分の店舗の運営に全力集中できるようになりますし、加盟店の新規加入にも繋がるので、ないがしろにはできないところです。
Q6・とりあえずロイヤリティが低い本部を選べばよいの?
Q5でわかっていただけたかもしれませんが、とりあえずロイヤリティが安い本部を選ぶというのは良くありません。なぜならロイヤリティの金額は直接本部からのサポート内容に影響してくるからです。
もちろん本部によって体制は異なるので一概には言えませんが、ロイヤリティが低すぎる場合は各加盟店へのサポートが十分に行きわたらない可能性が高くなるものです。例えば本部のスタッフが地方の加盟店の視察などで出張に行くことを考えると、下手したらそれだけで赤字になってしまうようなことは考えられませんか?さらに毎月充てられるロイヤリティが少ないとフランチャイズとしての競争力の維持にも影響が及ぶかもしれません。
本部からのサポートがある点と本部が競争力を維持してくれる点はフランチャイズに加盟することの大きなメリットです。もしもそのフランチャイズ本部がそれらを疎かにしているとしたら、フランチャイズ全体として顧客の支持を得られなくなる、加盟店が継続的に加盟を続けたくなくなるといったことが起こる可能性が高まります。結果的に加盟店の増加が伸び悩み本部の儲けが減少すると、間接部門から削減の対象となり、さらに競争力が下がるというような悪循環に陥ってしまうのです。
ただ、ロイヤリティが安い本部が悪いと言っているわけではありません。契約後の売上が想定していたよりも伸びずにロイヤリティの支払いが重荷になることもあります。加盟する前にしっかりと契約書を読んで、本部が提供してくれるサポートが毎月支払うロイヤリティに見合うものなのか、という観点で検討を進めていきましょう。
Q7・ロイヤリティが0円で本部にメリットはあるの?
募集をかけているフランチャイズの情報を見ているとよく「ロイヤリティ0」とか「ロイヤリティ・フリー」という文言を目にすることがあります。ここまで読み進めてくれた方は「それって本部がフランチャイズ展開するメリットがあるの?」と思っていただけたかもしれません。
これはロイヤリティ・フリーに関わらずフランチャイズ全体にも言える事ですが、同じ看板を出した店舗が増えることで世間での認知度も高まり、販促効果を生むというメリットは存在します。また、ロイヤリティ制度がなくても独自に本部に収入が入る仕組みを作り上げている本部があります。例えば移動販売の場合は加盟者にイベントの営業場所を紹介して主催者からバックマージンをもらったり、飲食業で本部から仕入れをすることになっている場合はその差額が本部の収益になる、といったものです。
また「ロイヤリティ0」と押し出していてもよく調べると別の名目で月額の支払いが発生することが多々ありますので納得いくまで契約書を吟味して疑問点は加盟前に全て解消するようにしましょう。以下のような名目で月額が発生することが多くなっています。
・システム使用料
・端末使用料
・会費
・ID利用料
・情報管理料
・広告販促費
・マーケティング費用
など
ちなみに契約の形態が代理店などの場合はそもそもフランチャイズ契約ではなく、ロイヤリティという概念ではないので、一般的にはそういったお金の支払いは発生しないことを覚えておきましょう。ただし上記のような名目で定期的な支払いが必要なことはあります。
まとめ
フランチャイズのロイヤリティをよく理解するために【7つの疑問】を見てきました。
確かにフランチャイズ本部と契約を交わし加盟するにあたってサイトや資料に書かれているロイヤリティの高低は気になるものです。しかし大切なのは「フランチャイズ本部がそのロイヤリティを使って加盟店にどんな還元をしてくれるのか」ということではないでしょうか。そこを意識して情報収集をしていくと一歩も二歩も進んだ、そのフランチャイズ本部の本質に近い部分が見えてくるものです。
また忘れてはいけないことは、ロイヤリティとはフランチャイズパッケージを使用させてもらう事の対価として支払うもの、ということです。この対価を支払うことで、本部が時間もお金もかけて築き上げてきたパッケージを使用することができるのです。既に世間的な認知度も信頼度も高い商標や商品を最初から使用できるということは、フランチャイズに加盟する非常に大きなメリットです。開業後に「なんで毎月こんなにロイヤリティを払わないといけないんだ」と思うことがないよう、加盟前にしっかりと納得してから契約を結びましょう。
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