フランチャイズ飲食業分析|2017年最新版
2017年版業種別フランチャイズ統計シリーズですが今回は「外食業」をピックアップします。このフランチャイズの3大業種としての名前は「外食業」ですが、中には持ち帰り寿司・弁当店やピザなども含まれていますので、ここではイメージしやすいように「飲食業」という言葉で置き換えて分析を進めていきます。
それでは早速飲食業を12個の業種に分けて比較・分析を行っていきましょう!
2017年版の各種ランキングも併せてご覧いただくと、より理解が深まり楽しく読み進められるかと思います。
チェーン数比較【飲食業】
飲食業全体でのフランチャイズチェーン数は571チェーンで前年からの増減は+2となりました。このチェーン数は三大業種の中では飲食業が一番多くなっています。
飲食業で一番チェーン数が多いのは19%を占める居酒屋・パブの120チェーン、2番目は17%を占めるラーメン・餃子の98チェーン、3番目は16%を占めるその他ファーストフードの88チェーンという結果が出ました。円グラフを見ると、特に小売業と比較してそれぞれの業種間の差が小さいことがわかります。これは店舗数と売上高にも言えることで飲食業ではそれぞれの業種が拮抗しているとも言えそうです。
1位の居酒屋・パブの前年からのチェーン数の増減はなし。2位のラーメン・餃子はチェーン数は多いですが、後から見ていく店舗数と売上ではだいぶ占める割合が小さくなっています。
焼肉店や日本料理、西洋料理といったいわゆる一般レストランはそれぞれ約10%を占めています。12%の焼肉店・その他一般レストランでは前年からのチェーン数が+2チェーンで、これは全体の30業種でも多い方になります。同じく飲食業で+2チェーンとなったのは8%を占めるコーヒーショップでした。
1%を占めているのはハンバーガー、アイスクリーム、中華料理店の3つでこれらのチェーン数8というのは全30業種のチェーン数ランキングでも最も少ないチェーン数になっています。前年からの増減はこれら3つとも0です。
店舗数比較【飲食業】
飲食業全体での店舗数は58,696店で前年からの伸びは100.3%(+148店)となりました。
一番多い14%を占めたのはその他ファーストフードと持ち帰り寿司・弁当店の2業種。その他ファーストフードにはサンドイッチやフライドチキンの他にドーナツやうどん、お好み焼きなども含まれており、確かに最近はうどん屋さんやお好み焼き屋さんを街で見かけることが多くなった印象を受けるのではないでしょうか。その他ファーストフードの店舗数の前年比は102.3%(+183店)で、店舗数伸び率ランキングでは全体の7位にランクインしており順調に伸びていることがわかります。
持ち帰り寿司・弁当店はチェーン数では飲食業全体の4%となっていましたが、店舗数では14%を占めています。しかし、前年と比較すると99.8%(-20店)で伸び悩んでいるようです。
チェーン数では一番多かった居酒屋・パブですが店舗数では飲食業で3番目に多い11%を占めるに留まりました。店舗数伸び率ランキングで居酒屋・パブを見ると前年比96.3%(-252店)でワースト2の29位となっていますが、この居酒屋の店舗数減少の原因はファーストフードチェーンなどによる「ちょい飲み」の需要の開拓が影響を与える結果となったようです。
ただ、居酒屋業界全体で約1兆円の売上がある中でフランチャイズで展開する居酒屋の売上は約4,000億円あり、スマホなどで食べたいものを検索する傾向にある現代では焼とりや串カツなど分野に特化した居酒屋を運営する本部が勢いを伸ばしています。
また、居酒屋に限らず飲食業の売上が伸び悩んでいる要因としては、小売業のスーパーやコンビニがお惣菜などの中食の充実させたり、イートインスペースに力を入れ始めたことによる影響も大きく、競合は同じ飲食業だけではなく他の業種にも及んでいると言えます。
5%を占める日本料理・寿司店では地方の寿司店を中心に急速に店舗数を減少させているチェーンもあり、前年比97.4%(-78店)となっていますが、売り上げでは100.4%とわずかではありますが成長を見せています。
売上高比較【飲食業】
飲食業全体での売上高は4,114,820百万円で伸びは101.4%(+56,817百万円)となりました。3大業種の中では一番小さい伸び率ですが着実に成長はしています。
飲食業の売上高で特筆すべきはハンバーガー、コーヒーショップ、アイスクリームの3つの業種の伸び率です。特にハンバーガーは売上高伸び率ランキングで全30業種トップの110.4%(+56,482百万円)と脅威の伸びを見せています。店舗数と売上高の円グラフを見比べていただくとそのすごさがわかるのではないでしょうか。平均店舗売上ランキングでもハンバーガーが飲食業の中でトップとなっています。
飲食業全体で11%を占めるコーヒーショップは売上高伸び率ランキングでハンバーガーに続く2位にランクインしており、前年比107.7%とこちらも大きな成長を見せています。コーヒーショップには喫茶店、カフェ、紅茶や緑茶の専門店などが含まれており、コンビニのカウンターコーヒーの影響が懸念されていましたが、大手チェーンの積極的な出店と改装やメニューの改善によりこのような結果となりました。
飲食業内の売上では1%に留まったアイスクリームですが、こちらも105.1%と全体で4位の伸びを見せています。また、平均店舗売上の伸び率では1位:ハンバーガー(+112.5%)、2位:アイスクリーム(108.8%)と飲食業がワンツーフィニッシュを見せており、ハンバーガーだけでなく、アイスクリームも大きく伸びていることがわかります。ちなみに店舗数ではハンバーガーが98.2%(-96店)、アイスクリームが96.5%(-53店)いずれも減少しています。
飲食業で13%の売上を占める焼肉店・その他一般レストラン店には焼肉店・しゃぶしゃぶ店、韓国料理店、専門レストランなどが含まれ、ハンバーガーに続く売上となっていますが売上高伸び率では97.8%と減少を見せています。
中華料理は店舗数が前年比98.3%、売上高が前年比97.7%といずれも減少となっています。また売上高では存在感が薄れた居酒屋・パブは前年比94.4%で全体の29位となりました。
まとめ
今回の分析から飲食業のフランチャイズでは特にどの業種が特別強いという訳ではないように感じました。また、店舗数が減少しているからといって業種全体の売り上げが下がっているとは限らず、むしろ店舗平均売上が上がっていることがあるのはおもしろい結果です。
飲食業においての成長のポイントは、消費者の嗜好の変化に対して敏感に対応し新しい業態を開発するなど満足度の高いサービスを提供し、消費者を根付かせることだと言われています。
フランチャイズ業種別の統計ということで、分析してみるとそれぞれ色々な側面が見えてきます。もちろんこのようにそれぞれの業種が成長傾向にあるのか、チェーン数はどれくらいあるのかなど業種全体の傾向を掴むことは将来性を考えるうえで重要です。しかしだからといってその業界に属する全てのフランチャイズチェーンがその傾向に該当するとは限りません。そういった傾向をしっかりと頭に入れたうえで気になるフランチャイズ本部を見学し、話を聞けばより多くのことが見えてくるのものです。
参考
【最新版】統計からのフランチャイズいろいろランキング
presented by みんコレ!起業・独立・開業なび