事業ドメイン

カテゴリ：起業・独立・開業・経営戦略

事業ドメインとは、事業を展開する領域のことです。企業が継続的に成長していくためには、事業活動の範囲を設定し、自らが保有する経営資源をその範囲に分配して事業活動を行わなくてはなりません。

事業ドメインを設定する意味は、ビジネスの方向性を明確にすることです。そのため起業する場合においても定めておく必要があります。自らのビジネスの方向性（領域）を明確に示すことで、自社の経営資源を有効に分配し、過度な投入や不必要な分散を防ぐことができます。

経済のグローバル化及び情報化社会の現在においては、消費者のニーズが多様化し、社会の課題も複雑化し、かつ高度化しています。そのため、適切な事業ドメインを設定し、他社との競争優位性を保ち、事業を成長させていかなければなりません。

事業ドメインを明確化する理由は、会社の経営において、設定したドメインによって「自社が戦う領域」が決定され、それに応じた戦略を検討していく必要があるからです。例えば、事業ドメインを「家具」と設定した場合と、「家具販売」とした場合ではその後の経営が大きく変わることになります。
「家具販売」の場合はその名の通り家具の販売のみを専門的に行う事業となりますが、「家具」とした場合には家具の販売のみならず、家具のデザインや製造なども含まれることになります。そのため、事業ドメインを設定した後はその領域の中でのみ事業活動を行うことを意味しているのです。

事業ドメインの定義として、物理的定義と機能的定義の２つがあります。

物理的定義は、製品やサービスを中心とした定義です。
これは製品やサービス単体で考えるため、事業領域が明確となりますが、その製品やサービス以外のことは考慮されないため事業領域は狭くなります。家電量販店を例に挙げると、「電化製品の販売事業」を事業ドメインとした場合などがそれに該当します。

一方で機能的定義とは、解決すべき課題や満たすべき欲求を中心として事業ドメインを設定します。
解釈する余地が広いため、事業領域が広がりすぎる恐れがありますが、既存の製品やサービスに世の中に貢献するなどの社会的な意味づけを行うことで事業を拡張していくことができます。家電量販店を例にすると「電化製品を通じて、暮らしを快適で豊かにする事業」といった事業ドメインとなります。このような設定を行えば「電化製品を販売する」という物理的定義より社会的にも意義のある定義となります。

起業する際の事業ドメインの設定においても、「機能的定義」を中心に考えて設定することで、自らの「経営理念」と関係性の深い事業ドメイン設定になりやすくなります。事業ドメインの設定は、これから起業する場合でも、事業の見直しを迫られている企業においても、経営戦略を立てる際にまず最初に行わなくてはならないほど優先順位の高いものになります。

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