成功しているフランチャイズ本部の秘密② 10の機能
加盟するフランチャイズを見極めるうえで、フランチャイズが成長していくプロセスや本部が持つ機能についてよく知ることは重要です。秘密①ではフランチャイズ本部の立ち上がりからビジネスを軌道に乗せ、それをさらにブラッシュアップさせて成長させていくために必須の「4Sスパイラル」を見てきました。
そして今回はそのフランチャイズ・システムを支え、4Sスパイラル継続的に回していくにあたって本部に必要な「10の機能」について見ていきます。これらの機能を知ることで、「フランチャイズにはこんなサポートがあるのか!」という知識にもなりますし、実際に本部を調べたり担当者と会うときには、これらの機能を理解したうえで話を聞き質問をすることでより深いところまでその本部の事を知ることができます。
フランチャイズに関する基礎知識としてぜひご一読ください!
成功するフランチャイズ本部に欠かせない「10の機能」
10の機能は以下のように加盟店をサポートするために必要な機能と加盟店を拡大していくために必要な機能の2つに分けることができます。
加盟店をサポートするために必要な機能
1.教育・訓練・指導機能
2.開業支援機能
3.マーケティング機能
4.スーパーバイジング(SV)機能
5.サプライ機能
6.情報・会計機能
加盟店を拡大していくために必要な機能
7.金融支援機能
8.加盟店開発機能
9.立地開発機能
10.新業態開発機能
それでは1つずつ見ていきましょう。
加盟店をサポートするために必要な機能
1.教育・訓練・指導機能
加盟店の教育というのは同ブランドのどこの店舗に行っても一定のクオリティを担保し、お客様の支持を得てフランチャイズとしてのブランドイメージを向上させていくにあたって非常に重要な機能です。フランチャイズ・ビジネスは「教育産業」ともいわれていることからもその重要性がわかります。
この教育・訓練・指導というのはオーナーに対してだけではなく、各加盟店の従業員に対してなされることも多くあります。フランチャイズチェーンの理念、商品やオペレーションに関する座学やOJT、サービスの場合は技術的な研修などになります。
アルバイトの従業員が店舗内で悪ふざけの写真や動画などを撮影し、それが拡散されるような事態になるとフランチャイズチェーン全体への影響も非常に大きいので加盟店への理念の浸透は欠かせません。
また訓練体制がしっかりと体系化されているかを事前に確認することで、4Sスパイラルの標準化とシステム化がうまくいっているかどうかを判断する要因になります。
2.オープニングサポート支援機能
各店舗のビジネスを軌道に乗せて計画どおりの業績を上げるための開業前後のサポートに関する機能です。業者と提携しての店舗作りや什器の準備から従業員の教育、本部スタッフによる開業前後の応援、販促物の提案や提供などスムーズに開業を成功させるための施策がこれにあたります。
特に加盟してすぐの時期は期待以上の業績を出して加盟店オーナーのモチベーションを上げるための施策が必要となります。また、立ち上がりが順調に進み収益が上がってくるとその後も計画通りの人員をしっかりと確保でき、広告費用も計画通りに使うことができるので、その結果業績も計画通りに推移するという好循環が生まれ成功への大きな一歩を歩むことになります。
3.マーケティング機能
フランチャイズ本部の役割としてチェーン全体の競争力を常に維持し続ける、ということがあります。競合との競争において他社と差別化をした強みを保持することがフランチャイズの成功には不可欠となります。
そのため、より品質の良い商品やユニークな商品の開発やそれらの適性な価格や販売方法(商品戦略の立案と実施)、チラシ・看板・CM・ホームページなどの広告や販促の企画及び加盟店での実施といったところがこの機能の役割となります。
この中でも重要なのが競争力の中心ともいえる商品やサービスのブラッシュアップです。フランチャイズ展開を考え始める企業は、そのきっかけとなるブランド独自の強力な人気商品を有していることが多いです。最初は話題性が強く業績が上がったとしても、顧客のニーズは信じられないスピードで変化するものです。そんな中でチェーンの競争力を維持するためにはこのマーケティング機能は非常に重要な機能となります。
逆に言えば、加盟店側からするとフランチャイズ本部が常に競争力を維持してくれることにより、各加盟店はそこを気にすることなく店舗の運営に全力集中をすることができるのです。
4.スーパーバイジング(SV)機能
基本的にフランチャイズの各加盟店には本部の担当者であるSV、すなわちスーパーバイザーが付いてくれることになります。スーパーバイザーは各店舗を定期的に巡回し、店舗や業務の運営が本部の定めた基準通りに行われているかをチェックしたり、オーナーからの経営に関する相談に乗ってくれたりする役割の人を指します。
スーパーバイザーは総合的に、そして継続的に加盟店をサポートする役割と言えますが、実際の業務に関して必要な機能をまとめて5C+Pと言われています。
Communication(コミュニケーション)
本部↔加盟店の双方向の情報のやり取りを仲介する
Consultation(コンサルテーション)
加盟店の経営の全般に関するコンサルティングを行う
Counseling(カウンセリング)
オーナーやその従業員の精神面での相談に乗る
Control(コントロール)
加盟店が本部の定めた基準通りに運営されているかをチェックし統制をする
Cordination(コーディネーション)
加盟店の要望を受け、必要に応じて専門家や他の部門との調整を行う
Promotion(プロモーション)
加盟店独自で実施する販促行為の企画や実施をサポートする
加盟店側から見るとスーパーバイザーからはこういったサポートを受けられるということになります。
5.サプライ機能
フランチャイズチェーンのブランドイメージやクオリティを維持するために本部から加盟店に必要なものを供給する機能となります。例えば外食業であれば原材料、小売り業であれば商品、サービス業においては営業ツールといったものになります。これらを計画通りに各加盟店にサプライするための機能を整備する必要があります。
ちなみにフランチャイズに加盟するメリットとして、スケールメリットを得られるというものがあります。仕入れに関していうと、個人で仕入れをする時と比べて、大量のものを一度にまとめて仕入れることによるコストの削減があげられます。本部はこういったものも考慮してサプライ機能を整備していきます。
6.情報・会計機能
加盟店に対して顧客の動向や商品の販売状況、業界の情報などを提供したり、逆に各加盟店の経営情報を本部に共有したりする情報システムは本部と加盟店の継続的な関係を維持するために必須のものとなっています。
現在では情報に限らず、コンピューターシステムの存在は本部運営にとって欠かせないものとなっています。
・サプライ機能における受発注
・ロイヤリティの徴取や債券の回収
・マーケティング機能における広告や販促
・教育・訓練・指導機能におけるeラーニング
などになります。
加盟店を拡大するために必要な機能
7.金融支援機能
開業資金が不足している加盟希望者に対して、本部が様々な形でサポートをする機能です。この機能が充実していると、開業資金に関するハードルが多少下がるのでより多くの加盟者を募ることが可能となりフランチャイズ拡大の足掛かりとなります。
主な方法としては以下のようなものとなります。
・融資制度:本部からの融資もしくは金融機関からの融資に対して本部保障を行うなどのサポートを行う制度
・ターンキー制度:投資から店づくりまでを本部が行い、オーナーは鍵を受け取ったらすぐに営業が始められるという制度
・社員独立制度:各本部が設けた資格を有した本部の社員に対して、独立時に融資を行ったり、開業に必要な加盟金や研修費などを免除する制度
・インターンシップ制度:一定期間直営店で勤務しながらノウハウを学び、最終面接を得て開業をする制度で、働いている期間の報酬を加盟金に充当できたりする。また本部と加盟店のミスマッチを無くすこともできる。
検討中のフランチャイズがあるものの、開業資金が不足しているかも、という方は本部に金融支援機能はどうなっているかを確認してみましょう。
8.加盟店開発機能
これは「開発」という言葉を見るととっつきにくいですが、簡単に言うと加盟店の数を増やすための機能です。フランチャイズチェーンではこの加盟店の数を増やすということが成功への大きな鍵となります。加盟店が増えることで消費者への認知度や信頼度が高まり、販促効果を生んだり、加盟金やロイヤリティの徴取により安定した競争力強化ができるからです。
加盟店の開発は「フランチャイズのパッケージを販売する」という営業活動です。したがって通常の営業活動と同じように見込み者(加盟を検討している個人や法人)に対しての継続的なフォローは欠かせません。
具体的な営業活動としては、加盟店開発用のHPやパンフレットの制作、説明会や相談会の開催、フランチャイズの情報サイトへの掲載、広告を打つ、フランチャイズのイベントへの出展などがあげられます。
9.立地開発機能
8は「加盟店」の開発でしたが、こちらは「出店可能な立地」を開発する機能です。フランチャイズの加盟店を増やすためには多様な立地で成立する業態を作り上げることが重要です。
出店可能な立地とは具体的には、繁華街・駅前・駅ビル・ショッピングセンター・商業施設・郊外などになります。通常フランチャイズ本部は初期の段階では1つかせいぜい2つの立地にしか対応していない業態を持つことが多いです。そこで社会環境や生活者の行動の変化に対応して新たな出店可能立地を開発する必要が出てくるのです。
例えばファーストフードショップは日本に導入された初期は駅前や繁華街でしか成立しなかったそうです。しかし現在の車社会では街の動線が大きく変わったため、郊外やショッピングセンターという新しい立地を開発し、ドライブスルーの機能がついていたり、子供たち用の遊具が備え付けられた店舗もあります。
出店場所の選定は開業後の業績に大きな影響を及ぼすので、本部はそれぞれの立地タイプごとに出店の可否を判断できる立地評価基準を持つ必要があります。
これは加盟者側から見ると、自分ですでに土地を保有している場合でも気に入ったフランチャイズの立地の基準を満たしていないとそこで出店することは難しくなるということです。
10.新業態開発機能
フランチャイズに限らず、業態やブランドには寿命があります。そこで企業が永続的に繁栄し続けるためには将来のリスクを回避しつつ事業拡大のスピードを上げることが重要となってきます。フランチャイズ・チェーンにおいてこれを実現するためのステップとしては以下のようになります。
①直営店からフランチャイズ展開へ
②出店可能な立地タイプを増やす
③国内から海外へ進出する
④既存事業プラス新規事業
この④が新業態開発機能となります。例えばが吉野家がはなまるうどんを展開したり、ダスキンがミスターナツを展開したりということになります。
まとめ
今回は成功するフランチャイズの秘密②をお送りしてきました。前回の「4Sスパイラル」と今回紹介した「10の機能」を知っておくだけで、フランチャイズ本部の表面的なところだけではなく、本質がかなり見えてくるようになります。(4Sスパイラルの記事はこちら)
今後経営者として起業をしていく方は、事業のパートナーとなるフランチャイズを選ぶことになるわけですが、その選び方次第で自分が成功する確率が変わってくることは間違いありません。実際に本部を選ぶときにはぜひ今回の知識を活用して、将来性もあり自分が納得できる本部に加盟できるよう、しっかりと情報収集をして自分の起業の成功を引き寄せましょう!
プロがズバッと伝授。フランチャイズ加盟を成功に導く知識
presented by みんコレ!起業・独立・開業なび