高齢者配食サービスの現状と今後の期待
高齢者配食サービスにはどの程度の需要があり、今後はどのような展開が予想されているのでしょうか。
高齢者配食は堅調に推移
株式会社矢野経済研究所が行った「介護食、高齢者食、病者食の市場に関する調査(2022 年)」によると、「介護食、高齢者食、病者食の調理品(給食、配食サービス)」の市場推移は前年度比101.4%の1兆4,804億円。2017年以降、毎年堅調な推移を遂げており、緩やかに成長していることがわかります。
配食サービスのなかでは特にまとめ買いや保存ができる冷凍弁当・惣菜が注目を集めていて、商品ラインナップの充足化をはかる業者も増えてきています。弁当などの配食サービスを含む、高齢者向け調理品の市場規模は、2026年度には1兆5,923億円にまで拡大すると予想されていて、今後しばらくは成長が続くでしょう。
参考:介護食、高齢者食、病者食の市場に関する調査を実施(2022年)
懸念材料は物価高によるコスト増
需要の拡大を期待される配食サービス事業ですが、不安要素がまったくないわけではありません。一般社団法人シルバーサービス振興会が公表した「配食サービス事業者からみた事業課題、今後の展望~事業者ヒアリング調査結果~」によると、配食サービス事業者の多くは近年の物価高によるコスト増を懸念していることがわかっています。
2023年に株式会社シンクロ・フードが行った飲食店調査によると、飲食店の98%が物価高騰を実感していて、全体の68%はメニューの値上げに踏み切っています。配食サービスの起業を検討している方はこうした現状を鑑みて、資金計画をしっかりと立てて開業に臨みましょう。
参考:第3章 配食サービス事業者からみた事業課題、今後の展望~事業者ヒアリング調査結果~
飲食店の98%が物価高騰を実感。68%がメニューを値上げも、客足への影響はほぼなし
高齢者配食サービス開業の流れ
高齢者配食サービスを開業する際、すでにメニューやコンセプトができあがっているフランチャイズに加盟すると、スムーズに事業を始められます。ここでは配食サービス開業の流れを解説します。
説明会に参加して面談を受ける
まずは高齢者配食サービスを展開しているフランチャイズを探して、最も自分の条件に合いそうな業者をピックアップしましょう。ほとんどの業者は説明会を実施しているので参加し、興味を持てたら面談を受けて希望や質問を担当者に投げかけてみてください。
店舗を見学して決める
フランチャイズでは実際に事業を展開している店舗まで足を運び、試食をしたり、経験者のオーナーから話を聞いたりして、事業への理解を深めていきます。全体的な雰囲気や先輩のリアルな体験談を知れば、より具体的な事業のイメージが湧くでしょう。
開業の意思を固めたら、市場調査を行って開業エリアを決定し、契約へと進んでいきます。
物件の取得・施工
次に配達するお弁当の調理・管理を行う物件を決めていきます。多くの場合、担当者が物件探しをサポートしてくれるので、自分でイチから探す必要はほぼありません。
物件が決まったら、働きやすいように外観や内装の施工を行いますが、配食サービスはほとんど調理が必要ないため、大掛かりな工事は不要です。工事が完了したら、いよいよオープンが見えてきます。
手続きと資格の取得
食品に関わる配食サービス事業の開業時には、食品衛生責任者の講習を受ける必要があります。スタッフのうち、誰か一人は必ず受講するようにしましょう。また、運転免許が必須となる配食サービスでは、スタッフの免許の有無を確認しておきたいものです。営業許可も忘れずに取るようにしてください。
従業員の開業・教育
オープン直前には、本部の担当者による研修が実施されます。配食の仕事の流れから接客マナー―、注意事項までをすべて学ぶことができます。複数名のスタッフを雇い入れる場合、このときまでに募集・採用するようにしてください。
研修を終えたら、いよいよオープンです。教えてもらった内容に則って仕事を進めていきましょう。
高齢者配食サービス開業時の注意点
社会貢献できる高齢者配食サービスは魅力的な仕事ですが、注意点が全くないわけではありません。ここからは高齢者配食サービス事業のポイントを4つ紹介します。
適切な価格設定を求められる
高齢化社会が叫ばれる現代にあって、需要の高い配食サービスに参入する業者も少なくはありません。競合他社がひしめき合うなかでお客様から選んでいただくためには、できるだけ商品の価格を安価に設定したいものです。
しかし、ただ安ければ良いわけではありません。どんなに安くても味がよくなければ、二回目以降はお呼びがかからないでしょう。高い質を担保したうえで、適切な価格に設定するようにしてください。
食の安全を徹底しなければならない
食べ物を扱う以上、食の安全の確保は事業者の責務です。異物混入や食中毒といったトラブルが絶対に起きないように、食の安全管理を徹底しましょう。
特に夏場は食材が傷みやすいため、配達中に菌が繁殖してしまったということがないように、配達エリアの選定や食品の保存方法には厳重に注意してください。
同業他社との差別化を図る
同業他社との差別化を図るためには、価格だけではなく食事の内容やサービスにも気を配る必要があります。食べすぎよりも低栄養が問題になりやすい高齢者の食事には、栄養バランスの取れたお弁当が求められます。
また、かたくて食べにくかったり、過度に量が多かったり少なかったりするお弁当は敬遠される傾向にあります。「高齢者向け」であることを頭に入れてメニューを決めましょう。
宣伝活動を必ず行う
「大手のフランチャイズであれば宣伝しなくてもお客様が来てくれる」と考えるのは早計です。どんなに大手でも存在を知られていなければ注文は入りませんし、同業他社が近くに存在すれば競争は厳しくなります。
開業後すぐにお客様を集められるように、開店前から積極的に宣伝活動を行いましょう。PR方法については、フランチャイズの担当者から教えてもらうことができます。
高齢者配食サービスのおすすめ
最後にみんコレ!がおすすめする2つの高齢者配食サービスを紹介します。フランチャイズへの加盟を検討している方はぜひ参考にしてください。
まごころ弁当
高齢者向け配食で店舗数全国No.1のシルバーライフが展開している「まごころ弁当」。加盟金、保証金、研修費、ロイヤリティはすべて不要で、0円開業を叶えられます。オーナー自身はお弁当に食材を盛り付けて配達するだけであり、調理の知識がなくても安心して開業できます。現場出身の本部指導員が具体的に顧客獲得のためのノウハウをアドバイスしているので、安定した収益を確保できるでしょう。
- 店舗数
- 970(2023年7月時点)
- 開業費用
- 加盟金:0円
保証金:0円
- 募集エリア
- 全国
- 収益モデル
- 想定店舗坪数 6坪
売上:3,450,000円
月会費:30,000円
営業利益:1,213,000円
人件費:630,000円
諸経費・雑費:266,000円
はぐくみ弁当plus
元々は企業向け宅配弁当を提供していたはぐくみ弁当は、2016年より高齢者向けの弁当配達を開始しています。事業所の立ち上げから許認可取得のサポート、さらに開業後のアフターフォローも万全で、多様な業界の出身者が多く存在するため、初めて起業する方も安心して始められます。障がい者雇用によって国からの給付金が加わることで、売上、利益を両方確保できるストック型のビジネスモデルです。
- 店舗数
- 143(2023年4月時点)
- 開業費用
- 加盟金:22,000,000円
物件取得費:2,750,000円
送迎用車両:440,000円
調理備品・什器類:1,848,000円
工事費:1,100,000円
法人登記:330,000円
採用広告費:330,000円
- 募集エリア
- 全国
- 収益モデル
- 想定店舗坪数 25坪
売上:7,590,000円
ロイヤリティ:220,000円
営業利益:2,437,595円
人件費:3,516,250円
諸経費:459,525円
変動継続コンサルティング費用:205,150円