ネットショッピング利用者の増加とともに、軽貨物運送の需要が急増しています。近年はどの業界でも人手不足と言われていますが、特に運送業界は深刻です。
ネットショッピングの増加と運送業界の人手不足は、これから軽貨物運送に参入しようとしている人にとって大きなチャンスかもしれません。
しかし、安易に飛びついた結果、失敗する可能性も十分に考慮するべきです。軽貨物運送をやってみようと考えている人に向けて、失敗しないFC業務委託について解説します。
軽貨物運送のFC(FC)業務委託で儲かる仕組みとは?
はじめに、軽貨物運送業とは何か、そしてFC(以下、FC)で軽貨物運送の業務委託を請け負うメリットを解説します。
需要が高く普通免許があれば始められる
軽貨物運送業とは、軽自動車を使って荷主の荷物を運送する事業のことです。荷主から小さな荷物の運送依頼を受けて、運賃を受け取る仕事は全てこの事業にあたります。
軽貨物運送FCをはじめるメリットの1つは、参入ハードルが比較的低いことです。普通運転免許と自賠責保険と任意保険をかけた軽トラック1台があれば事業を始められます。軽トラックを手に入れたら、運輸支局に個人運送業の会社を届け出て、運送業の個人事業主として国から認可を受けます。
仕事の受け方は、大手運送会社から荷物の運送を下請けすることもあれば、運送会社に所属するなどいくつかのケースがあります。
なぜ、軽貨物運送業の需要が高まっているのでしょうか。その背景には、ネットショッピングの急増があります。
平成29年度の総務省の調査によると、2人以上の世帯のネットショッピング利用率は、2002年には5.3%でしたが、2016年には27.8%になったことが分かりました。また、平成30年度の国土交通省の調査では、約43億個ある宅配便のうち、99%がトラック運送であることも明らかになっています。こうした傾向は、今後ますます強まっていくでしょう。
一方、近年、大手運送業者の間では人手不足が大きな問題となっています。人手不足の解消や人件費の高騰などを受けて、2017年頃から大手運送業者は相次いで値上げを発表しました。大手運送業者でさえ簡単に人手を集められなくなっている状況下では、個人が新たに軽貨物運送に参入することは追い風であるといえるのです。
初めからFC企業の知名度を利用できる
2つ目のメリットには、初めからFC企業の知名度を利用できることがあります。
個人事業主であれば、一から自分で顧客開拓をしていくのが基本です。軌道に乗るまでは、貨物運送よりも営業に時間や労力をかけなければならないことも少なくありません。リピーターと新規顧客の開拓を同時に進行していかなければならないのが、個人事業主のつらいところでもあります。
しかし、大手運送会社のFCは完全な個人事業主とは違います。最初から加盟先の企業の知名度を利用できるため、集客面での負担が軽いのが特徴です。
開業する上での様々なサポートを活用できる
メリットの3つ目は、FCで開業すれば、様々なサポートを活用できることです。これまで会社員だった人にとって、独立して個人事業主として生計を立てていくことは簡単なことではないかもしれません。
まず、貨物の輸送に必要な車を例に考えてみましょう。既に軽自動車を持っている人であれば問題ありませんが、新規に購入する必要がある人の場合、まとまった車の購入費用がかかることがネックになるのではないでしょうか。
仕事を始めたばかりの時期は、収入が見通せない中で何かと資金が必要になります。初期費用はできるだけかけずに始めたいと考える人も多いでしょう。FC展開している運送業者の中には、貨物運送に使う軽自動車をレンタルやリースしてくれる会社があります。レンタルやリースを利用すれば、軽貨物運送を始めるからといってまとまった資金を用意する必要がありません。軽貨物ドライバーとしての一歩を踏み出しやすくなります。
FCなら、ドライバーに対する研修があることも大きなメリットでしょう。普通自動車の運転ができることと、お客様の荷物を運ぶのとでは勝手が違います。荷物の上げ下ろしや積み方、取引先とのやりとりやなど、軽貨物ドライバーとして知っておくべきこともたくさんあります。FC契約をしていれば、そうした仕事に必要な知識を一通り学んでから業務を始められるのです。
さらに、個人事業主になったら確定申告も必要な業務です。日々の売上や経費の精算、請求書の発行など、日常業務の中では事務処理も案外多いものです。FCなら、そうした事務処理に関するサポートを受けられることが多く、ドライバーとしての仕事に集中できる環境を整えやすくなります。
このようにFCで軽貨物ドライバーとなると、多くのメリットがあります。経験がない人にとっては非常に心強いシステムです。
デメリットがないわけではない
他方、FC契約には次のようなデメリットもあります。
- ロイヤルティがある
- FC本部のルールに従わなければならない
- 不祥事が起こると自分の仕事にも悪影響が出る
- 車両指定がある可能性がある
FC契約の最も大きなデメリットは、ロイヤリティが発生することです。
金額によっては完全に個人で仕事をした方が儲かることもあります。ただし、FCとして開業するには上述したように様々なメリットがあるのも事実です。他人ののれんやノウハウを使って仕事をする以上は、支払って然るべき対価と考えられるでしょう。
人によっては本部のルールに従わなくてはならないことはデメリットとなるかもしれません。独立や開業を目指す人であれば、制約の少ない働き方を指向する人も多いのではないでしょうか。しかし、FC契約ドライバーとして働く場合は、本部の決めたルールに従う必要が出てきます。FC契約をする際はあらかじめ説明会に参加したり、契約書をチェックしたりして、本部のルールを確認しておくことをおすすめします。
不祥事が起きたときに、その悪影響を受けるのはFCならではのデメリットです。起きる可能性はそれほど高くないものの、自分がコントロールできないリスクを取らなければならない点については考えておいた方がよいでしょう。
軽貨物運送のフランチャイズで失敗する人、成功する人
続いて、軽貨物運送のFCで失敗する人と成功する人を見ていきます。
失敗するのはこんな人
楽に稼ぐことを考えている
運送業は需要のある仕事ではありますが、FCに加盟したからといって自動的に稼げるようになるわけではありません。
簡単に高収入を得られると思って会社員を辞めてドライバーになったものの、独立に失敗してアルバイト生活をはじめてしまう人もいます。そうならないためには、事業主としての努力が必要であることを覚えておきましょう。
事業主であるという自覚がない
個人事業主は経営者です。FC加盟して個人事業主となった人の中には、意識が会社員時代のままである人が多く見受けられます。
経営者になったからには、あらゆる選択を自分でする覚悟が必要です。働き方を選べる自由と引き換えに、金銭的なリスクを負わなければなりません。反対に自分の頑張りや創意工夫が反映されるのも経営者ならではの魅力でもあります。
FCであっても事業主としての自覚や責任感を持つよう心がけましょう。
成功するのはこんな人
続いて、成功する人の特徴を見ていきます。
ポジティブかつ謙虚に学ぶ姿勢を持っている
会社員として人なら、積み上げてきた実績やプライドを捨てるのは難しいかもしれません。しかし、独立開業すると会社の看板はなくなります。軽貨物ドライバーが未経験ならなおさら、前職までの考え方は捨てていく必要があります。
自分に仕事を依頼してくれたという感謝の気持ちや、次のステップに進むための学ぶ姿勢を持ち続けることが大切です。
営業や宣伝の労力を惜しまない
個人事業主として安定した経営を続けていくためには、営業が欠かせません。個人事業主は会社員ではないので、仕事がなければ収入が途絶えます。FC加盟店として依頼される仕事だけに頼っていると、苦しい時期がやって来るのはそう遠くないでしょう。
安定した収入を得るためには、複数のキャッシュポイントが必要です。そのために、自分の存在を知ってもらう努力をしましょう。
チラシを作る、ホームページを作る、交流会に参加して仲間を作るなどできることはたくさんあります。自分のできることから始めてみてください。
軽貨物運送の業務委託・フランチャイズの選び方と注意すべきポイント
数多くのFC軽貨物運送がある中で、自分にあった事業者を選ぶ方法と注意すべきポイントを解説します。
最低でも5社以上、資料請求して情報収集・研究する
FCで軽貨物運送業を始めるなら、最初にFC加盟店を募集している運送事業者を探しましょう。インターネットでも多くの情報を得られますので、その中から自分に合いそうな会社を複数ピックアップします。
はじめてのことは分からないことも多いものですが、最低でも5社ほど比較してみるとFCに加盟するための条件の相場が見えるようになってきます。たとえば、FC解約後の独立を妨げるような条件があるところや違約金があるところは注意した方がよいかもしれません。
複数社を比較することで、明らかに不利な条件で契約してしまうことを避けられるのです。
十分なサポート体制があるかどうか
FCに加盟するなら、きちんとした研修やサポート体制が整っているところを選ぶのがおすすめです。特に未経験から軽貨物ドライバーになる場合には、未経験者を一から育てるためのノウハウがあるか、トラブルがあったときのサポート体制があるかをチェックしましょう。あわせて経理などの事務処理、車両のレンタルやリースなどの開業サポートがあるかどうかも確認したいところです。
必要経費と報酬のバランスは妥当か
個人事業主になると、売上金全てが収入になるわけではありません。特に、FC加盟するとロイヤリティが必要になる点に注意が必要です。FC加盟には多くのメリットがあるものの、手数料割合が高いと事業を続けていくことが難しくなってしまいます。
ロイヤリティ以外にも管理費用などがかかるため、どれくらいの費用や手数料がかかるのか試算してみることが大切です。
- お祝い金のあるサイトから資料請求するとお得!
FC加盟を考えるなら、お祝い金制度のあるサイトを通じて申込みするのがおすすめです。特定のサイトから資料請求や説明会に参加して加盟すると、加盟後にお祝い金がもらえる制度のことをいいます。一種のアフィリエイトのようなものと考えればよいでしょう。
開業には様々な費用がかかります。少しでもコストを抑えてお得に開業しようと思うなら、こうしたサイトを活用してみるのもよいのではないでしょうか。
ただし、お祝い金の権利獲得の条件はサイトによって異なります。条件やお祝い金がもらえる時期などは事前によく確認しておきましょう。
軽貨物運送のフランチャイズ・業務委託主要7社徹底比較
ここからは、FCを募集している軽貨物運送事業者を7社解説していきます。
SBS即配便
- 募集エリア
- 埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県
- 開業資金
- 0円
- 収益例
- 粗利40万円
- その他
- ロイヤリティ なし
- 【ここに注目!】SBS即配便おすすめポイント
- SBS即配便は開業資金なしで始められる軽貨物FCです。大手通販企業の配送業務が中心のため、はじめての人にも安心でしょう。加盟費用やロイヤリティがないことも事業を続けていく上で大きなメリットとなります。
丸和運輸(クイックエース)
- 募集エリア
- 東京都・埼玉南部 北関東・埼玉北部
- 開業資金
- 0円
- 収益例
- 売上60万円
- その他
- 完全週休二日制
- 【ここに注目!】丸和運輸(クイックエース)おすすめポイント
- 東証1部上場企業で、教育やサポートに信頼性があるのは丸和運輸です。
ロジスティクスに関わる人材不足や教育の遅れを解消することを目的とした社内大学校もあります。市場変化に対応した経営や知識の習得が可能で、すでに専門の資格を持った人材も多く輩出しています。
赤帽
- 募集エリア
- 北海道から沖縄まで全国
- 開業資金
- 100~200万円 車両購入費含む
- 収益例
- 記載なし
- その他
- 福利厚生の充実
- 【ここに注目!】赤帽おすすめポイント
- 赤帽は軽貨物FCの中では開業資金のかかる方ですが、ブランドイメージは確立されています。社会性が高く、協同組合としても機能していることをふまえるとリーズナブルといえるでしょう。
軽急便
- 募集エリア
- 関東から福岡まで12エリア
- 開業資金
- 169万円~ 加盟金など
- 収益例
- 完全出来高制
- その他
- 2ヶ月売り上げ保証制度あり 取扱手数料が開業年数などに応じ14%~21%
- 【ここに注目!】軽急便おすすめポイント
- 軽急便は、兼業でも起業できるのが特徴です。軽急便が受注した運送業務をグループの一員として担当するので、いきなり独立開業することに不安がある人も安心です。収益は完全出来高制で、開業年数や経験が長くなるほど収入が増えるシステムになっています。
Human Assist Service(ヒューマンアシストサービス)
- 募集エリア
- 埼玉中心
- 開業資金
- 記載なし
- 収益例
- 平均50万円以上
- その他
- シフト制週6出勤 車両リースレンタル料金700円/日
- 【ここに注目!】Human Assist Service(ヒューマンアシストサービス)おすすめポイント
- 企業専属の常用便、ルート配送の定期便、チャーター便などのざまざまな業態の運送サービスを提供しています。初期投資や加盟金、保証金などはほとんどかからず研修を受けられるのがメリットです。土日だけ、深夜だけという働き方もできるので兼業もできます。
セルート
- 募集エリア
- 北海道から福岡まで9エリア
- 開業資金
- 0円
- 収益例
- 25万円~50万円
- その他
- 営業ナンバー取得車のみ可能 ロイヤルティなし
- 【ここに注目!】セルートおすすめポイント
- セルートはバイク便で有名な運送会社ですが、軽自動車での配送もあります。加盟金、保証金、ロイヤリティなどの手数料は不要です。
LOGIQUEST(ロジクエスト)
- 募集エリア
- 全国65拠点以上
- 開業資金
- 0円
- 収益例
- 記載なし
- その他
- 6か月車両無償貸与
- 【ここに注目!】LOGIQUEST(ロジクエスト)おすすめポイント
- ロジクエストには、6カ月間の車両無償貸与や売上保証制度があります。
FCドライバーとしてスタートするときは、車両の購入費用や加盟店費用がハードルになることが少なくありません。ロジクエストは、開業にかかる費用なしで営業活動や請求書の発行業務や回収業務も代行してくれるサポート体制が整っているため、ドライバー業務に専念できます。
まとめ
軽貨物運送は、需要がある仕事です。FCならサポート体制もあるので、未経験者でも始めやすいでしょう。一方、FCならではのデメリットもあります。加盟する企業を選ぶときは、複数社を比較して契約条件をしっかりと確認したいものです。また、開業祝い金がもらえるサイトなどお得な方法を活用しましょう。
FCとはいえ個人事業主になれば、成功も失敗も自分の責任になります。すべての事柄には表と裏があり、リスクなしにメリットを享受することはできません。
しかし、軽貨物運送はこれからもコンスタントに需要を見込める仕事であること、大きな荷物を運ばないので女性など体力のない人でもできること、そして定年に関係なく長く続けられる仕事であることは大きな魅力となるのではないでしょうか。これから軽貨物FCを始めようとしている人は、メリットとデメリットをよく見て次のステップに進んでください。